稲沢市 おおみやピアノ教室ドルチェのブログです🎹
同じ曲でも楽譜によって全く違う!
楽譜によって書いてあることが全然違うから、楽譜のチョイスで演奏が変わる!
今日のテーマは「楽譜」
ピアノ学習者が必ず学ぶべき大切な教材である
バッハ・インヴェンションを例にとってお話しします。
皆さんはインヴェンションを練習するときに、
どの楽譜を選ばれますか?
クラッシックの演奏家にとって
楽譜は「神聖」なもの。
楽譜をよ~く見て、忠実に再現しないといけないわけですが…
その楽譜がこんなに違うのです!
まず、ざっくり分けるとバッハの楽譜は
原典版と校訂版に分けられます。
🔴原典版はバッハの原稿に忠実に作られた楽譜。
表紙に「URTEXT」と書いてあります。
バッハの原稿には
強弱もスラーも速度表示も、な~んにも書いてありません。
<理由>
バッハの時代はまだピアノはなく、オルガンかチェンバロしかありませんでした。
チェンバロは爪で弾くことで弦を振動させて音を出す「撥弦楽器」だったので強弱がつかなかった。
だから強弱が書いてないのです。
※チェンバロは長い音も延ばすことができないため、長い音はトリルになっています。
しかし、強弱が書いてないからといって「強弱をつけなくて良い」ということではありません。
音の高さの変化や、調性、パートの違いなどで、
強弱や音色を変えなければならないのです。
🟡校訂版は、いろんな研究者や先生方が「ここはこうしたら?」とアドバイスの気持ちを込めて、強弱、速さの表示、スラー、奏法などを書き込んだ楽譜です。
海苔に例えれば、
原典版は「焼き海苔」校訂版は「味付け海苔」。
味付け海苔はメーカーの味つけによって違います。
それでは実際にどのように違うのか?
バッハの5番インヴェンションを例にあげてみます。
例:インヴェンション5番
1番上の原典版
何も書いてありません。
2番目はハンス・ビショッフ校訂版
Allegretto espressivo dolce p(速めに、表情豊かに、柔らかく甘く、弱く)
3番目は井口基成氏校訂の春秋社版
Allegro risoluto energico f(速く、決然と、キッパリと、エネルギッシュに精力的に、強く)
<違い>
ビショッフ版「アレグレット・速めに」⇄春秋社版「アレグロ・速く」
ビショッフ版「表情豊かに」⇄春秋社版「キッパリと」
ビショッフ版「柔らかく甘く」⇄春秋社版「精力的に」
ビショッフ版「弱く」⇄春秋社版「強く」
え~、真逆じゃない!?
ビショッフ版だとエレガントなイメージ
春秋社版だと力強くエネルギッシュです!
音楽の感じ方は人それぞれですが、
校訂版を使う場合は1つの楽譜を盲目的に信じるのではなく、
他の校訂版と比較してみることは大切なことですね。
「こういう考え方もあるんだなぁ~」と良い勉強になります。
それでは実際、
バッハの楽譜選びはどうすれば良いのでしょう?
原典版を使うのが理想ですが、
初心者がいきなり、何の指示もヒントもない原典版を使うのは大変です。
指遣いなどが弾きやすい校訂版を1つ選び、
他の校訂版をもう1つ弾いてみるのが理想です。
慣れてきたら原典版に移行するのがベストかな?
同じ曲でもかなり違うので、
校訂版を使うときは注意が必要である、
ということがお分かりいただけたと思います。
<参考>
原典版=URTEXTと書かれている楽譜。
ヘンレ版、ウィーン原典版、ベーレンライター社版など
校訂版=春秋社版、ブゾーニ版、ビショッフ版、ツェルニー版などの他、
いろいろな先生方の校訂版が出ています。
〇〇校訂と校訂した方の名前が書いてあります。
チェンバロ
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インヴェンション8番
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大内孝夫さんの記事です。
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